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2024年度 辞令交付式における理事長・学長訓示


令和6年度辞令交付式 理事長・学長訓示

 辞令交付式にあたり、理事長・学長として一言、ご挨拶申し上げます。ただいま、新役員を含む、総計37名の皆様へ辞令を交付いたしました。
 それぞれの職責において、皆様の有する知識、経験、能力を最大限発揮していただき、本学の理念・目的である:「グローカルな知の拠点となる大学」、「未来の実践的担い手を育てる大学」、「地域に開かれ地域と向き合う大学」としてのさらなる充実と発展に向け、大いに貢献していただきたいと思います。

 さて、産業構造の急激な変化、少子高齢化の進行など、大学をとりまく環境は、確実に「危機の時代」にあります。18歳人口は減少に歯止めがかからず、国公立大学であっても、入試の実質倍率が1を切る学科やコースが散見されるようになってきました。このままの状況が続けば、日本の高等教育、またそれと表裏一体にある研究力・技術力が地盤沈下していくことは想像に難くありません。それゆえ、これから私たちは、なお一層の努力をもって、そういった苦難の時を乗り越えていかなければなりません。

 大学がどんな時代にあっても普遍的に追及していかなければならないのは、教育・研究力の向上です。高等教育の基盤は研究にあり、その上に高度な教育や地域貢献が成り立ちます。自らの研究により教員自身がその専門分野の最高水準を保ち、生きた学問を教授する責務があると思います。質の高い大学教員と社会で実践を積んだ実務家の方々の教育があいまってこそ、地域がめざすべき教育が展開でき効果が発揮できるのだと考えます。
 まずは、教員自ら研究する姿を学生に見せ、研究方法やその内容を直接に指導する。また学生と一緒に研究活動を展開する。そういった真摯な姿勢こそが大学における人材育成の原点だと考えます。

 そして、教育・研究活動を支える事務職員は、自身の担当業務だけでなく、大学の運営を俯瞰してみることを心掛け、広い見地から物事を判断できる能力を身に着けてほしいと思います。そのためには、国や海外も含めた大学の動向などの情報を収集することや、自身の仕事が大学運営において果たす役割、さらには、大学全体の課題まで、自分なりに整理することも必要でしょう。教員と事務職員が車の両輪となって前進していくことが、地(知)の拠点となり、受験生に選ばれる魅力ある大学につながると考えます。

 さて、本学が現在実施している主要な事業は、2つあります。
 1つ目は、「文部科学省 地域創生人材育成プログラム構築事業」である「PENTAS YAMANASHI」であります。学生の就職先となる地域の公共団体および産業界の有識者にプログラムの構築の初期段階から検討に加わっていただき、産官学が一体となって実践的な高等教育にあたり、地域創生人材を育成していく事業であります。
 この事業で構築した5つの実践的教育プログラムは、本学の共通教育に位置づけておりますが、本学の学生のみならず山梨大学、山梨学院大学、山梨英和大学など、他大学の学生や地域の社会人、高校生も履修することができ、幅広い世代で多くの方々が学んでいます。いずれは、このプログラムの修了生が、地域を活性化し、地域の発展に大いに貢献するものと考えています。

 2つ目は、本学が山梨大学とともに、一昨年に文部科学省から採択された「地域活性化人材育成事業SPARC」です。この事業は大学間連携に係る特例制度を活用し、令和9年度までに、本学の学部教育の中に創造的な文理融合教育や、ヒューマンサービスにおけるDX人材の育成教育を導入し、高校・大学・実社会における継続的な学びを支援していく「学びのやまなしモデル」を定着、発展させていく事業であります。
 既に社会全体が、IoTやAI、ビッグデータ解析などの最新技術をあらゆる文化や産業に取り入れて実現する知識集約型社会へと進化している現在、価値創造を目指した文理融合教育の導入は高等教育界において喫緊の課題であります。

 2つの事業は、昨年度学内に開設した「教育改革推進室」および「地域人材養成センター」を中心に、地域の要望に応えた、新たな価値を生み出す特色あるプログラムとして展開できるよう、全学的な団結をより強固にして取り組んでいきたいと考えます。

 また、教育研究をさらに高度化させるため、大学院、高度専門職人材養成部門の充実に取り組んでいます。昨年度は看護実践開発研究センターに「感染管理」認定看護師教育課程を新たに開設しました。感染症に関する予防対策や継続的な管理、また再発予防における発生状況のサーベイランスなどについて高度な知識と技術を有する専門人材を育てます。
 今年度は人間福祉学部において、児童虐待対応の専門家を育てる日本初の大学院「人間福祉学研究科」をスタートさせます。子ども虐待防止における専門性の獲得に加え、現場で働いている方々が日々の活動から解決策を導き出し、それを現場に還元できる、研究的視点を持った実践者を養成します。

 以上のように、本学では、時代の要請に答えられる、多様な改革を進めております。
 本日、辞令をお渡しした教職員の皆様には、不断の努力と自主・自律のもとに、共通の理念を持って教育、研究、地域貢献事業に従事してほしいと思います。そして、山梨県立大学の伝統、強みを基盤にして、皆様と共に本学をさらに発展させていきたいと思います。

 以上、辞令交付における、ご挨拶とさせていただきます。


令和6年4月1日 
山梨県立大学理事長・学長 早川正幸

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